数年前のこと。
西表島にある民宿の食堂で、私たちは先生の話を聞いていた。
夜空には、ここかしこに薄い雲があるものの
星がきらきら、たくさん見えていた。
「米という漢字は、8方向、その中心に神様がいることを
あらわしています。」
なんと!
「そして、氣という漢字の中には米がありますね?」
つまり、「氣」の中には神様が在る。
でもその漢字は今では「気」となってしまった。
米→〆となり、〆められてしまっている。
ええっ!
漢字にはそんな力があるんだ、すごい!
私たちの驚きをよそに、先生はなげいている。
はるか昔、天照大御神は日本人に稲穂を渡し、これを育てよと宣うた。
今の日本人は天照大御神との約束を反故にしてしまっている、と。
ふと思い出し、私は期待をこめてiPhoneの中の古い画像を探した。
たしか以前「氣場」までの案内版を撮ったことがあったはず・・・。
すぐに見つかったが、残念!
その案内版には「気場まで100m」と書かれていた。
「氣場」ではなく「気場」になってしまっていた。
がっかりして、先生に画像を見せた。
「これでは、この氣場は、エネルギーが〆められてしまっていますね?」
「なので、開けてください。」
「・・・・開けてください・・・??」
「開けてください。」
先生は静かにほほえむ。
・・・・・。
あのう、どうやって開けるのですか?
尋ねるが、先生の答えはない。
窓の外では、ブーゲンビレアの花がひとつ、またひとつと
音もなく落ちる。
いつの間にやら雲は去り、満天の星が輝いていた。